悲しい気持ちの時ほど、詩を書いて作品のカタチで昇華させたくなるので、暗い詩ばかりになってしまいがちですが、そんな時にふぁぼやスキ、RTなど、とても救われています。読んでくださってありがとうございます。では詩まとめその6です。今回日記が最後についています。
今回連作が多い感じ。薄いグレー文字が、わたしの雑感です。
俺はトーストの精霊。追いかけっこだニンゲンども。
“気づき”もしないで、毎日俺が喰えると思うな?!
さぁさぁ皆さんお立ち会い。
2018地球町《あおやねちょう》“見つける”競争の始まり始まり。
────東の空、こんがり焼けたお狐さま。尻尾なびかせ、お皿を小脇に駆けてった。
気づこうとしないと、見つからない。
そしてまた西極《さいはて》へ。旅の途中”俺”の物語。
《連作》
答えのない問答が道を伸ばす。
俺は見渡す限りの地平線、
16番目のスニーカーの墓の前、
17番目の新しいブーツの先、乾いた土に花の絵を描いた。
(地球町の宵のシャンパンが、飲みてぇな…)
ヘタな花の絵が、大地に吹かれて、ひらり、俺の肩に止まった。
「おーい、そこの兄さん、西極《さいはて》行きかい?」乗ってくか?と。でっけぇ“帆船”が、ゴウゴゴと高く空の群青を巻き込み、西へ西へ。
「……いんや」
「こっちだから」
多分、“コレ”で合ってるはずだ。
俺は、すぐ後ろの足跡を始点に、ぐるり、進路を変えてしまった。“操舵手”たちは親指を立てgood luckと舵を切った。
荒野に星が揺れていた。
俺の袖には、錆色の冴えないボタンが一つ。逆光に照らされ、金に光った。
そうだ、故郷の空を飲みに帰ろう。
宍色に昇る、あの、たまらねぇようなシャンパンを。
帰り道、掌に一片の陽。
チカチカ光って群青に溶けた。
ボクは花壇にメッキのハゲた双葉《わたし》をひとり分植え、水を与えた。
欠片はすぐに手からすり抜けて、ひらりひら、風に飛んで西へ。
そして
また旅の支度を始める“俺”をどこかで見かけたような竜が、願いごとは?と。
────俺が答える前からパンを降らせて空を縫った。
最初の鍵を手に、また旅に出る。
まぁるい球のささやか山。
藁の奥の骨の家。
ボクはイガイガ。ボクは破片。
ボクは鉛から千切られたノブ。
薄黄色に見えるかい?通《とお》っていいよ?
ボクは切符のハサミでパチン、バチン。
ヤツらの脹脛《ふくらはぎ》、次々と弾く。
もう一度訊く。これはほんとに象牙色?
お前の目玉に、溶けた飴玉でも入ってんじゃないか?
見ようとしない人へ。
どうしたの、あなたはどうして穴が空いてるの?
まぁるく抜けた向こう側。覗けそうだよ?
そうだ空でも詰めとこう。そしたらしばらくやっていける。
胸の穴ぼこ地方、今日の天気予報です。
降夕確率90%、所により星が落っこちるでしょう。
完全なる空っぽというのは、きっとない。
《monster》連作?
ボクはクローゼットの片隅に棲む"monster“。
頻繁に霧散する。お前なんかいらない、いらないと。
だから帰宅はいつもこっそり。
冬は結露についた埃。夏は服の黴がドア。
どうしてボクにしか創りかけの世界を閉じれない?
ボクは“本体”
ボクは“Master”。
どういうわけか、嫌われ者。
体から出て行け。いつもボクの“持ち主”はボクの存在を恨む。
ある日ボクは決意した。
今までお世話になりました。
まとめる荷物は、道端の花や、ある日美しかった夕の雲。
浜辺で見つけたへんてこな石。
そう、これらはボクの大切なトモダチ。大丈夫、ボクはひとりじゃない。
…随分歩いたなぁ。この辺なら迷惑じゃないだろうか?
居ていいんだろうか?
…気づけば、木々を、緑を。“トモダチ”さえも叩いて壊して、引き裂いて、
月に向かって震えていた。
その角を曲がった先、“いらない”が口を開け、そのオルゴールをよこせ、よこせとまとわりつく。賤未《しずみ》町18丁目の夜。
夏の日拾った花火の燃え殻。印刷がずれた牛乳の蓋。ボクの心を灯すガラクタ。
いらない、いらない。
いるんだ、要るんだ!
抱え込んで駆けろ。次の次の角には、朝の光。
扉の向こうはひんやりしていて、ラクだった。
ここはほんの少し遠くの世界。
誰も入って来れない、楽園。
誰かが埋めた空色の林檎。
どんどんしぼんで塵になった。
いつもボクは、気づくのに、なのにボクは、気づかれない。
まぁそりゃそうさ。しょうがない。
カエルの胃より狭い路地。
ぽつんと彼方に手を振った。
人生初めて、ふらりと家出してしまった話。
ここに至る経緯は、語るべきところではないと思うんで、大幅に割愛して、
ぐだぐだとネカフェで本を読んで帰ったという事実だけの日記でも。
────ある日、きっと表面上、なんてことがないような、些細な、人にとっては些細に見える軽い衝突。軽かったことのように見える衝突があった。
その日は確かに他にもショックであろう出来事があって、でも、多分問題はそこではなかった。
いつものように怒鳴りあいの喧嘩の途中「外で頭を冷やしてくるね」と、ふら…と外に出た。同居人は「そうだな、そっちの方がいい」と、そっぽを向いてDVDをみはじめた。
ふらふらとエプロンとクロックスで散歩してる途中。わたしが喜ぶもの悲しむこと。ことごとく”小さなこと”という前提で会話が進む、わたしの人生を思い起こし、
(どうしてわたしの心にとまるものは、みんなに小さな事って、決めつけられちゃうのかなぁ)
(その人にとってのちいさいとかおおきいって、人が計れるものじゃないって、思うんだけど)
(…おかしいなぁ…)
こういう時、ポキンと、ナニカが折れる音がほんとにどこかから聴こえるもんだな。と思った。
次にはっと記憶が戻ったのは、聞いたこともないような田舎の駅へ停車する。というアナウンス。ぼーっとしてたら、いつの間にか、どこか行きの鈍行に乗り込んでしまっていたようだった。わたしは、なんかその時(そうか、ちょうどいい、このまま生き続けて、迷惑をかけるぐらいなら、いっそ誰もいない場所に行こう…)と。
家からそのまま出てきたような扮装で、電車の中で、海の生まれ変わりみたいに、目から塩水が出ていた。かろうじて遠出の電車代ぐらいは、なんとかなりそうなお金がエプロンのポケットに入っているみたいなこともわかった。どこに行こうの前に、ここはどこだろう。
気づいたらスマホにはメール、ライン、インスタのメッセージ機能も使って「どこにいる!?」という焦ったような着信が山ほど来ていて、もう23時ぐらいになっていた。なんでもないよ。大丈夫。と雑に返信して、全員の着信を拒否した。
一駅ごとに、乗客が減っていく。最後はわたししか車両に乗っていない状態になった。きっとこういう人も多いと思うけど、心底、人がいないとラクだな…と思った。誰もいなければ、わたしはわたしの感動や嬉しい哀しいを、否定されずに済むんだ。出来るだけ遠くの、迷惑がられない場所がいい。
謎駅のネカフェ。
結局終点が終電だったみたいで、車掌に下されてしまった。ここはどこだろう…。遠くに繁華街が見える。駅の空気的に、多分こんなとこで、マキシスカートのエプロン姿の女が新聞紙の上で寝てたら、通報されるだろうなぁ…と思った。
今時期ぐらいなら新聞紙で暖がとれる事も結構知ってるクチで、危ない目にもよくあってるので、いい加減慣れていて、それよりも通報される方が嫌だった。
よく考えたらバッグらしきものをひとつも持ってなかった。まぁいいや。と思ってコンビニで食糧をいくつか買うついでに、ビニールを大目にもらった。これでいい。
今日はもう電車がない。寝るとこかぁ…。しばらくフラフラと歩くと、助かる事にネカフェが一件ぽつんと建っていて、幸いお金も安めの店だった。神さまか何かが、こっちだバカ!と誘導してくれたような気持ちになった。
そこそこ設備の整ったネカフェで、とりあえずゴールデンカムイを一回読んでみたかったので、何冊かスペースにおいて、ごろん。と横になった。全然読む気が起きずに、どこに向かおう…。と考えてみた。
山奥がいいか、海がいいか。火曜サスペンス劇場に出てくるような崖。良く考えたらわたしは極度の方向音痴で、どうやって向かえばいいか、地図を見ても、案内を読んでも、何一つとして道が分からなかった。
まともに道も歩けない…。と思うと、仰ぐ天井がゆらゆら揺れて膨らんだ。
それにしても、気づくとすぐに自分いじめをしてしまう。人にやさしくするよりも、自分にやさしくするのは、きっと一番難しいのだと思った。気づいたら、ぐだぐだともう2時ぐらいになっていた。
ふと石神さまの事を思い出した。女性の願い事をなんでも1つ叶えてくれる神さまだそうで、謎電車をいくつか乗って、謎駅で降りて三重県とかいう謎大地を渡った場所にあるらしい。というのが1時間ほど苦しみながらスマホで地図やらを見た感想で、ぐああああ。どうやっていくつもりだ…。ってなった。
石神さまのことは、前々から気になっていたけど、よく考えたら願い事らしい願い事がなかった。願い事というのは、自分で叶えないと。というとこにしがみついてるのかもしれない。わたしが「植物たちが元気に育ちますように」以外のことをお願いするならなんだろう…。と何とはなしに考えた。
(…これかな)
なんか、たしか一回無理にでも思いついた願い事があったんだけど、しばらくしたら、忘れてしまうような内容だった。違うことを考えてないと、ずっとぼろぼろと涙が零れるので、答えの出ない問答を、展開させては、間に泣いた。
やっと腹が減ってきた。よく考えたら今まで飲まず食わずだった。ビニールをもらう用で買ったパンを喰うとのどがつまった。慌ててドリンクバーに走った。
ドリンクバーの棚の横は、今売れてる漫画コーナーで「恋は雨上がりのように」が目に付いたので、一冊選んで、スペースに持って帰った。パトレイバーのなんとかってキャラに似たおじさんが出てくるって、みんなうれしそうに言いたがるアレ…。
しばらく読む気が起きず、明日、どこにどうやっていけばいいのかな…とか天井を見上げてるうちに、なんとなくその漫画を手に取った。
橘さん、天使か!?
ファミレス店長(45)と女子高生の恋のお話。なんでもないようなお話といえなくもないような筋書きなのに、描き方によってこんなに面白い…。店長が好きって理由もすげぇわかるし、こんなひたむきで可愛い子、応援するしかない…。
気づくと夢中で読んで、店長の親父ギャグに、橘さんがナチュラルに引くシーンで、声を出して、あははって笑っていた。
読んでるうちに、また腹が減った。次は暖かいスープと、毛布を持って来た。
徹夜で読んで、朝8時。面白かった。さて、どうしようか…。と茫然とポケットを探る。お金は下ろせば何とかなりそうだけど…。
なんだか自然に「ごめんなさい」と同居人に連絡を入れた。
怒られる…と思ったのだけど「よかった」「ごめんな」「俺が悪かった」と泣いていた。一晩中探し回っていたのだそうだ。
どうしてこんなことをしてしまったのか、まだよくわからない。
けど、これだけは言えるのは。
物語というのは、命を救うことも、誰かの支え、生きがいになる事もあって、わたしも、そんな物語をかきたいと思った。
だから帰ることにした。
はじめての家出のお話でした。
*。
☆
《帰り道、書いた詩》
そいつか?そいつはちっぽけ草。
名前はアレでこれだけど、気にすんな、
ある日星が映った藍の露。
ある日のパン。
キスしたくなった帰り道。
悔し涙のベッドの塩分。
物語の主人公。そんな花が咲くからさ。
今回のまとめは、道中、気持ちを落ち着けなきゃ…と、詩をいくつか書いてインスタにあげたものが混ざっています。ふぁぼやいいね。とても救われました。ありがとうございました。
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