久しぶりの詩とSSまとめ記事です。
上京するちょっと前から溜めてあるので、2年分ぐらいだろうか?随分溜めてしまった。
書く都度下書きに保存していたのだけど、詩部分だけで4500字超えてしまい、作者でもチェックしてて集中切れで読みたくない記事が書きあがってしまった。
多分意味が分からない言葉が続くから集中が切れるんだと思うんで、何本かボツにしたり、推敲したりして、詩とは別にその時その時の背景が分かる短文エッセイを挟んであります。
面白くなったと思う。画像も25枚ほどあります。美しいですよ!
詩→あれば画像→一言雑感(グレー文字)の順で並んでいます。インスタ全部読んでるひと用に、書きおろし一本、イラストも簡単ですが一枚描きおろしがあります。
子どもの頃からしんどい時は詩を書いていた。最近しんどすぎて、詩も書けなくなってきて、それでも少しずつ書き溜めたものです。読んでいってもらえるとうれしい。
*目次*
上京前~上京後。
幹に顔を伏せ「もういいかーい」
遠くからシー!という声
クスクスとひそひそ
「まぁだだよ〜」
「もういいかーい…?」
何度も呼んだ。
がらんどうの広場
西日が梢に踊っていた
私は精一杯笑いながら
「またかァ…」
零れないよう、空を仰いだ。
#泣くという文字を使わずに泣き顔を文学的に表現してみろタグ参加作。
膝を抱えて殻の中、遠く近く、柔らかな声が聴こえた。
「なんかあんたは大丈夫な気がするよ」
…なんで?
「ん〜。なんでだかわからないけど、きっとあんたなら大丈夫だって思うんよ」
撫ぜるような風、スィと吹く。
飛び方を教えてくれた。
いつの頃か俺の腹の奥底、腫れぼったく鳴り続ける壊れた目覚まし。
黙れクソがと腹を殴ると、嘔吐《えづ》きが上がった。
この目覚ましの正体は、ここではない澄んだ蒼。
うるせぇんだよ。また腹を殴ると、刺すような涙が滲んだ。
ひとりだけ、見窄らしい筆箱を笑われたみたいな、涙が。
気に入っている一篇。
このちいさき世界、綴じるひと。
こちらの記事用の画像。
中央広場のどこか、死体が埋まっている。
ここはその昔、草の空き地。
逆光の飛行船。高い空が降っていた。
「夏のドリルが残っててさ」決まり悪い俺。
≪星は廻るよ≫
────目深にキャップを被った少年が、滴るアイスを分けてくれたのは覚えている。
ここはどこだ…。
“俺”が埋まった広場のタイル。キャップの少年、ビーサンで踏んでった。
俺は死体。俺はかつて“やる気”って名前がついてた石ころ。
#悪いサボロー
つい責める。
するすると脇腹刺し、世界は今日も瞬く。
駆ける奴らの鼻先を、まるで風に舞うスーパーのビニール袋。俺は澱。
マジックで描いたルーンの護符。”トモダチ“
星は気づかない。
手で払われては、ひらり掠れ、はらりちぎれ、往来の虚《うつろ》捲れ、踏まれ、焦がれ、燥く。
ない、いない。何も、どこにも。
ちなみにこのペンダントのルーン。(しいたけではない)
上京して3ヶ月が経った。
本当に一切うまくやれない。新しい友達もできない。しいたけみたいなペンダントは、友達が欲しくて御守りでエオロー《仲間》のルーンを彫ったもので、眺めていたら泣けてくる。
上京した理由は、漫画がどうのとかそういうのより、こっちならいい病院があって、いいお医者に診てもらえるのでは?という理由だった。
ところが見つからない。圧倒されるようなヤブ医者の量。
そしていい医者や、診療代が安い医者は、関東でコンサートチケットが取りにくく、田舎の方がまだチケットが取れる現象と近いことが起こっていて、紹介状を持ってるのに、病院によってはそもそも電話が繋がらない。
東京は人の数が多すぎるのだ。初診には関門が険しすぎる。
東京は大好きな町で、いつかは帰りたかったのだけど、病院にかかるためなのであれば、失敗したなぁって思った。
大きな風が赤白青。
どうやらどこかでビュウと吹いてるそうじゃねぇか。
遠く煌めく水平線、気合いだけが上がっていた。
見えねぇ、見えねぇよ。
アーッと歓声、俺の前にはでけぇ橋桁。
どこかから街宣車「お父さん・肩車とか・危険です」
隣の女子高生「エモーい」
そうかエモか、エモなのか。
橋桁の向こう、まだ見ぬエモが広がってて、俺は目を瞑る。
隅田川花火大会の詩。
折れた羽根、ガムテで補強でもしとこうか。
なんなら石を拾うでも、成層圏の高さまで積みあげりゃあ、そこは天辺。
────地上には俺の為の面積なんか、いままでも、これからも、どこにも、なんにも。いい加減行こう。
黒でも白でもねぇ、宅配便から剥がした破れかぶれのガムテはためく、俺はカラス。
隔てた向こう側。
イヤホンが絡まったような、青白い陽炎めらり。
妄言の沼、蛙ばかりが累々。
嘘の月、昇る。
テープで留めたバラバラの背表紙。
小難しい二冊の本。この館が建った頃、一冊の美しい絵本だった。
一冊は星の起源。ある日のあたたかな瞬きの物語。
一冊はひとつひとつマジックで汚く塗りつぶされ、最後の頁に泥雲のインキで"折られた羽根の砕き方"と汚く走り書きされていた。
今はもうバラバラの二冊の本。
この館が建った頃、一冊の、空の名前の、絵本だった。
バラバラのひとり。
台風。
病院も見つからないまま、大型台風が連発でやってきた。ひとりぼっちで家財道具たちを護らないといけないのに、すべて出遅れた。
窓の保護用の養生テープは売り切れ、水も売り切れ、そして一番近所の避難所は、ハザードマップによると、水没地点を超えた先。食料はメタルスライム蒸しパンとかいう、グレーのクソ不味いパンを二つ買えただけだった。
田舎から「避難所に逃げろ」「今度の台風は怖いぞ」「過去最大級だって?」「備えてる?」たくさん電話がかかってくる。最初はこらえて返事していたのだけど、最後は『怖いのはわたしが一番知ってることだよ、だから安心させてよ』と叫んで電話を切った。
わたしにはメタルスライムしか備えがないんだよ!
entabe.jp買ったらレジでレベルがあがった。
長い物語が書けないのであれば、SSを書こう。
どんなにささやかな一歩でも、きっと振り返ってみたら、元いた風景とは変わっているだろう。(SSの時系列は並べ替えてあります)ここからの一年はどんどん寡作になっていく。
『ね、北川君ちの猫』
会社で昼飯中の俺。
「ぶちだよ」
見たい〜♡隣の女子社員。
面倒と思いつつ、スマホのホームを確認すると、いつの間にかぶち太の写真がすり変わってて────
慌てて隠すももう遅い。
『彼女!?』ヒュー
…アイツはよくこういう悪戯をするのだ。
「いや」
「うちの特大猫」
フフと笑う。
#140字小説
邪魔なIDカードを肩に引っ掛けてる男子ファンクラブ会員用挿絵。
(わたしのこの恋…勝ったも同然…)
────何せ手元にマルタイラーメンがある。
職場の昼休み。社内一のモテ男、俺様系イケメン佐倉君が九州出身なこと、九州男児はマルタイラーメンに弱いこと。リサーチ済だった。
「佐倉君!」棒ラーメンを掲げ叫ぶ。
「好きッ!?(マルタイが)」
「ハハッ面白れ〜女」
(ほんとに)
#140字小説
佐倉くん超いいやつ。http://www.marutai.co.jp/products/stick/
往来に長く延びた影彷徨う黄昏。
喫茶≪方舟≫。
錆びたロボットが俺に996杯目の杯を差出す。
来店から幾年経ったろう。
頁で指を切ると細い切り傷から、長く延びた影の1人、珈琲の黒に忍び込んだ。
ああ、ついに"俺の番"か…。
観念して飲み干す。
気づくと往来。長い影纏う、その他大勢役の、俺。
#140字小説
これは漫画で描きたい。
夏の夜の事だった。
───バースデー鉄道が廃線になったのはもう50年以上前の話だ。
繋いだ手。当てどなく歩く。
彼女は薄く微笑み
「8月15日だけ西の空行きの列車がくるの」
突風───星の花連れた一陣の風。
彼女がそのまま消えてしまいそうで、星座咲く中、
俺はただ、ただ、その横顔をみていた。
#140字小説
列車が出発したのは、いつのことだろう?
恨めしさ背負い、駅からの坂道。
俺の視線の先、制服姿で手を繋ぐ群青の君、他の誰かの爪先。
俺は死に急ぐ、僕は踞る。
ひとり、思い、痣のように耽る俺は虫螻。
どんなにねじ込んだって、俺も僕も、君の中にはいない。居られない、挿れられない。
#爪・死・僕で文を作ると性癖がバレるタグ参加作。(バレている)
オリオン座が席捲していた。
額装されたみてぇな冬の海。
どこまでも黒い水平線。
海岸のコンクリを隔てた現世と幽世。
砂利を踏む音だけが確かだった。
このでけぇ水の上、歩いて向かおう。
こことは違う、美しく醒めた世界。
果てへ、最果てへ。
白く、波が、糸の、ようで、
────────俺は、
向こうと、こちら。
「明日からあなたのお嫁さん」
溶けそうに笑う彼女。
「ああ」
最高の瞬間。
カノープスが地平に落ちたのは、もう何百年前の事だ?
(…明日は来ない)
星が滅びる前日、時を輪っかに閉じた俺は罪人。
俺はこの瞬間を幾年月でも護り通そう。
星がまた昇る。
「明日からあなたのお嫁さん」
「………ああ」
───麦畑が月夜に、揺れた。
#140字小説
ずっと。
ヘンゼルの光る石は雑踏に紛れ、黴たパンはもう音も鳴らない。
のっぺらぼうのコインをトスして、右の道かそれとも左か。
空き缶みてぇにしゃがみこんだ。
ざんばらの前髪の向こう、俺とは関係ない、美しい、外の世界。
路の途中。
まぁだだよ。
もういいかい?
クスクスクス….
もういいかい…?
いつもわたしは公園にひとり置いていかれた。
刺すような蝉しぐれ。わたしは何度でもこのゴミ溜めを、信じようとした。
バカみたいに、もういいかいって。
掌に僅かばかり残っていた、かつて光だと思っていた砂塵。
もういいかい?
もう、いいね。
釦ちぎられた相棒たち引き連れ、いこう。
水平線の向こう、彼方揺れる、痛みのない世界へ。
継ぎはぎだらけのGood Bye。口を縫ったら、楽だった。
果てへ。
書き下ろし。
浜辺が水海色に染まる頃、毎日毎日サイダーの泡が煩いぐらい弾ける。
お前はいらない、お前がいらないって。
明日がやって来ないぐらい遠くの星に、子どもの頃の宝物、自慢の切手で手紙を出そう。
破けてボロボロだけど、星の王子さまの絵面なんだ。
海岸線の向こうと、こっち。切手の切れ端は探せない。
おいてけぼりの王子。
最後に。
灰褐色の泥濘だった。俺はこの沼の主。
中心にポコン…。泡の振りして辺りの様子うかがう眼玉の化け物。
ここはどこだ。
炭色の大地に白の縞々、縦に長い空。人より爪先1歩でも抜きん出ることしか興味なんかないような足並み。
俺がちょっと前、顔を出した億年前。
頬切る突風吹きすさぶここは西の淵だったはずだ。
これはなんだ?
縞模様がぐにゃりと溶け始め、ゴミが流れ込んできやがった。
《止まれ》の長い棒。
小綺麗そうな雌、ニンゲンが古くなってくたびれた雄。
竜頭には金剛石。
いらねぇ。いらねぇ。いらねぇ!
ニンゲンはどうやら丸裸で吐き出してしまったようだ。
一応雄もいるっていうのに、猿が雌ばかり囲む。
老婦人が駆けだし、それぞれ緑の外套を着せ、頭を撫でた。
まるで始祖、楽園から追放された一対。
ここはかつて風渡る裾野。
号令一下。《沼》を固化。まずは猿どもを丸呑みに。
通りのど真ん中、つんざいて《止まれ》の墓標。
天辻には北差す金剛石。
空を仰げよ。
美しい、この綺羅星たちをよ。
なにか見逃して暮らしてはいやしないか?
ある日の、キャッチボールの約束の前日のような火花を。
爆ぜる明けの明星を。
北極星はどこだ?
お疲れさまでした。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
心配をおかけした方々にわかるように、あと一言だけ解説を。
最後の詩はこんなで《再生》の詩なのです。
▼この記事を書いた人▼
*おまけ*ボツの詩についてた画像。
夏の成田にこういうのがいたのだった。あと他のボツ作品は、画像なしのものばかりでした。あと、最後の詩に出てくる女の人の画像はわたしではないですよ!