ひよこ9.4切符!!

こちらは主に日常の話とノートの切れ端などをup。創作活動のPRなどは「まみの木荘3.20号室」に分けてあります。

インスタに書いた詩とss。その7

 久しぶりのインスタの詩シリーズです。わたしが詩を書くときは、悩んだとき、はっきり言語化すると角が立つ時、息が出来ない時に、詩を書いてなんとか気持ちを落ちつけることが多いんですが、今年は息が出来る感じの日が多かったのか、詩が少ないです。やっと一本記事が書けるぐらい溜まりました。

 

今回、書きおろしのssがオムニバス形式になってるんで、少し増えて16篇です。

 

薄いグレー文字が、わたしの雑感です。ではどうぞ。

 

 

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 まるでヤカンと頭をすり替えられたような朝。

窓から風が渡るのが救いだった。

空駆けるガーゴイルが、桟に止まって「また倒れてんのか」と雪山から運んでいる途中であろう、一遍の結晶を額にふわり、分けてくれた。

 

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f:id:mm909:20180721010946j:plain急に熱が出た。

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今日も燭台が決まった時間に倒れる。
手元を灯すものもない。
がらんどう、湿気を帯びた、塵《じん》の窟。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain夜はわたしを許さない。

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腕を前から上にあげて大きく背伸びの運動〜!
そのまま深呼吸で、今日の”空“を飲みまーす…。

ンッかー!この一杯のために、生きてんなぁ。

 


ところでお客さん。まァた西極《さいはて》に金のアレを探しに行くのかい?袖んとこついてるのに、難儀な人だなァ。

まーいいや、帰ってきたらまたこの空いっぱいの”シャンパン“を用意しといてやるから。

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≪連作≫そしてまた西極《さいはて》へ。旅の途中”俺”の物語。に出てくる宵のシャンパン屋のお話。

また金のボタンを探しに行く俺”の話を書きたいんですが、一回物語が終わってしまったら、”俺”が出てこなくなってしまった。

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繋いだ貝殻の暗闇に、しけたマッチで七つ星を灯そう。

いつもじゃない毎日。

確約されてるわけでもなんでもない、今日の風に吹かれ、行こう。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain腐れ縁7周年の詩。

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 「コイツに話しかけると”はじまりのたね”を唄うっていうんで、地球《あおやね》町、人気の苗でさァ」

 

俺は、柄にもなく花唄屋の口車に乗って、三色すみれをひと鉢連れて帰ることにした。確かに路地のそこかしこ、三色すみれだらけの町だった。赤、黄、藤。若草に揺れる。

 
(すみれの花、咲く頃…)

 

不意にガキの頃の思い出。台所、リズミカルな包丁の音を引き連れながら響く。あたたかなソプラノの唄声が胸いっぱい広がった。

 
(おふくろは達者でやってるだろうか)

 
俺は苗を手に持ったまま、生家を訪ねることにした。何故そんな気分になったのかは、わからないけれど。

 
藍晶月13の日のことだった。

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 ↓こちらの原型。283字→696字になっています。

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そういえばわたしがよく書く夢のお話なんかも、最初のメモ書きは300字程度ですね。

note.mu

 

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赤い毛氈。今日はねずみ五郎の結婚式。

チューチューと手をとって幸福に満ちた行進。

”俺”は花嫁やねずみ五郎に踏まれつつ、よかったよかったと耐えた。(ツツジ三郎:談)

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f:id:mm909:20180721010946j:plain町というのは美しい。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain浴びるように水をくれよ。

青い蒼い星をくれよ。

給水タンクいっぱいの灯をくれよ。

削れた分、埋めてくれよ。

星に咲く花をくれよ。

詰めるための毛布をくれよ。

どうしてこんなに流れ出るんだ、この穴ぼこに、そもそもなにが棲んでたんだ?

埋めるための“藁”をくれよ。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain評価されないということ。

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竜の爪のマークのバッシュ。

いつの間にか履いていた。

右足は翼、白のシューズ。

左足にはカッターナイフ、黒のシューズ。

斬り刻んで駆ける。

ボクが僕である限り。

この足を切り落とすでもない限り。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain 枷の形がナイキだったらいい。

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手負いの白竜さまが落っこちて来たのは、もうかれこれ葡萄月ほど前のことだったでしょうか。ここは居心地がいいから、つい長居してしまったな。そう言い残し、空へ空へと昇っていきました。

 

帰す手伝いをした星の発射台は、このあと竜神ノ塒《りゅうのねぐら》商工会から、お礼として金平糖の包みを山ほど受け取ることになります。

 

───だから、地球《あおやね》町の天気予報は、たまに“晴れ、ところにより金平糖が降るでしょう”みたいな気象情報が流れるのです。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain地球《あおやね》町の民話。

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靴底を、よく見てみて下さい。

なにか刺さってはないですか?

この鋲はつぎはぎの風船。

潰れたじゃがいも。

もう痛くない。砕かれた分、同じだけあげるよ。

靴底を、よく見て下さい。

 

なにか刺さっては、ないですか?

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f:id:mm909:20180721010946j:plain割れた破片を振り下ろす直前。

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青い深い路地の果て。

 

「では後程」

そういって通り過ぎた男の顔がこの世界から切り取られていたことに、そうです。親指を隠して、みてないフリをしました。

 

ようやく摘んだ陽炎は一輪。たった34.7度Cで、空に昇って、ちぎれて、ちりぢりに、掠れて消えてしまったようです。

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f:id:mm909:20180721010946j:plain鍾乳洞で死にかけたあとのお話。無駄にトラウマが多い。ウンザリする。

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わかりやすい陽炎の向こう、

ひらりひらと蝶だか夏だかよくわからない翅が躍った。

“ソイツ“は道路を横切り、通りの向こう、

暑さに悶えるどこかのジジイと俺を「「あっちぃなァ!」」と同時に笑かし、

またな。と、ゆらり、溶けてしまった。

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f:id:mm909:20180721010946j:plainこういうことがあった。

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  ≪連作≫

*道具屋のカウンターにて~旅の行商人~*

(書きおろし含む)

 

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*ベテラン道具屋の親父談*

 

ある日、やけに顔立ちの整った青年…旅の行商人が、革袋いっぱい、汚れた砂を詰めてカウンター越し、こう言った。「これは名籠砂《なかごすな》っていう、大変価値のある砂でしてね」

 

青年は饒舌にまくし立て、あなたは幸運だ。と金貨3で交渉を始めた。

 

俺はその辺にあった端材に「金貨」とテキトーに書き入れ「これでどうだい?」

───青年は喜んで、砂を置いてまたどうぞ。と帰っていった。

 

こういうヤツはたまにいる。

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*村外れの道具屋の息子談*

 

整った顔でにこにこと笑う、若い旅の行商人が、ここ最近革袋いっぱい灰色の砂を詰めて毎日のように商談に来る。

「これは名籠砂っていう、大変価値のある砂でしてね」

 

────テーブルの上には、ただの汚れた砂に視えるナニカ。

 

ボクが言い出せないのを知ってか知らずか、行商人は延々と説き続ける。

 

面倒くさくなり5沙後、銅貨1で手を打った。

 

市場に持ち込むと「ご愁傷さん」鼻で笑われ、ボクはいらだち紛れ、道端に力いっぱい革袋を叩きつけた。

 

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*市場のテントに立ち寄った客Aとジプシーの少女談*

 

旅の途中立ち寄った市場でのこと。笑ったフリをした青二才が、革袋いっぱい、どうやらゴミみてぇに汚れた砂を詰めてジプシーの少女にこう持ちかけた。

 

「これは名籠砂っていう、大変価値のある砂でしてね」

 

青二才は饒舌にまくし立て、銀貨3で売ってやってもいいって。何言ってんだコイツ?

 

しかし少女は革袋をあらため、虚ろな顔で何度も頭を下げて、こう言った。

 

「こんな美しい砂…わたしなんかに……?」


手には枯葉やらゴミが絡んだ、臭そうな砂。

 

おいおい。と青二才を遮り少女に声をかけたら、革袋を盗られまいと、身を固め怪訝そうにされた。

 

俺は薄気味悪くなって、逃げ出しちまった。

 

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*故郷の酒場と、配達の少年談*

 

 

行商から帰ってきたばかりの青年が、故郷の酒場でさも自慢げに”戦利品”をテーブルに並べ、こう言った。「商売としてはまぁまぁ成功だった」神妙な顔をして、友人が革袋をあらためる。ほう、という顔。いくつかの売れ残りの”名籠砂”と、売上袋。

 

「金貨が手に入ったからまぁよし」売上をちらつかせ、親父、曉酒。飛びきりのやつ。兄さんいつも羽振りがいいねぇ、モテるだろ。今度あまったの連れて来てよ。

ほくほくの酒場の店主。

 

「いい話なのに値切りやがるバカが多い地区だった」

「貧乏人には価値が分からんのだろう」

「だよなぁ…」特別にカミナ地区の商品を分けてやったのに。まぁいいじゃん、飲もうぜ。それでさ、あのジプシー、あんま抱き心地は良くなかったな。まったくお前ときたら。げらげら。

 

 

「…まいどォ」

 

なんとなく青年たちの隣をすり抜けるのを避け、そろりと、店を出た酒屋の配達の少年は、月を見ながら、

青年たちの会話と、テーブルの上にあった、革袋の中身を思い出し────。

 

────(…汚れた砂と……木端に”金貨”って書いてあっただけだよな……?)

 

ぶるり、と、首をすくめた。

 

 

 

 

*了*

 

f:id:mm909:20180721010946j:plain革袋の中身はなんだろう?

人によっては砂金に感じるかもしれない。

人によっては、削り取るナイフかもしれない。

現実のあちこちでもよく聞く話。

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あとがき。

 

以上16篇でした。こないだ去年の詩を全部読み返して、わたしつらかったんだなぁって、あらためて思ったんですが、今年は量が少ない分、一篇の詩の闇が深くなってて、書いた本人が読むポイントを押さえて読むと、ヤバいなぁ、なんかヤンデレを通り越して、怪談「リゾートバイト」の女将さんのようだ…と言う感じがします。

 

途中で、宵のシャンパン屋の話の説明のところに、グレー文字で見逃してる方もいらっしゃると思うんですが、

 

また金のボタンを探しに行く”俺”の話を書きたいんですが、一回物語が終わってしまったら、”俺”が出てこなくなってしまった。

 

という注釈をいれてありますが、これ、とても寂しい。

ミカダさんも一回物語を閉じて、また開ければいいって思って、とりあえず、一回書き終わったんですが、後書きを書き終えて、しばらくして、noteにupが終わってない分のミカダさんの更新前チェックをしてたら、もう二人の物語が、壁の向こうのお話に感じて、泣いてしまった。

 

これがわたしがいつも書きながら恐れていた”物語の扉を閉じる”ということなんだと、思い知った。

 

このことは、ミカダさんのUPが終わった後、こぼれ話的な記事を書く予定ですので、そちらでもう少しふれようかなぁと思う。

note.mu

 

だからわたしは好きな漫画をすぐ読んでしまわずに、一話一話切り詰めて、大切に読むんだと、あらためて自分の行動の意味がわかった次第で…。

 

うちのツイッター読んでる人は分かるかなぁと思うんですが、うちの読まれてない本は、積ん読というより、命のストック、残機、乾パン、マッチや松明。そんな位置かなぁと思う。新刊が出たら真っ先に買うくせに、(読んだら減る…)(読んだらお話が終わる…)という思考回路で読まないし読めない。

こんな寂しいのは嫌だから、自分以外が描いた漫画やお話ぐらいは物語の扉を閉じなくていいのだと思う。楽しみは棺桶までとっておけばいい。

 

今、新しい物語の扉を開けるのに、四苦八苦してるんだけど、新しい方を開けないと、もう背水の陣というか、心の居場所がない感じなんで、こじ開けるしかない。

 

 

▼この記事を書いた女将さん▼

mm9.hatenablog.com