インスタを始めたのは今年の2月ぐらいだったろうか?
詩は小学生の時からずっと、人から何を言われても、ノートをとりあげられて、笑われたとしても、負けずに書き散らかしてきたんですが、こんなに誰かに読んでもらったのは、初めてかもしれない。
苦しい時書いた詩ほど好評で、RTしてもらえたりするのもとても救われた。わたしはきっと大丈夫なんだって思えた。ありがとうございました。
今回は溜めてしまって18篇。インスタ全部追って下さってる組に宛てて、書きおろし1篇。計19篇。グレーの小文字が、わたしの寸感や簡単な解説になっています。
では、どうぞ!
よぉ、俺は"ヌケガラ"の精。
多分喰い終わったプリンのカップとか、その辺からなんとなく生まれた。
俺の腹にゃ、生まれた時から何にも入ってねぇ。
毎日"空っぽ"を作るだけ。胸いっぱいの、プリンってどんなだろう。
わからねぇし、知らねぇ。誰か俺にこの空いっぱいのプリンをくれよ。
ありったけの空っぽを投げ返すからさ。
誰か、誰か。なぁ、おい。
どうして俺にみんな、空のカップばかり投げつけてくるんだ?!
おべっか使いの詩。
遠い群青。ここにいるぞと星が鳴く。
醒めた側溝。ガードレール。
止まれの「ま」の字の丸い隙間。
滲んで滲んだ午前3.09時27723分、そうだここは夜国《よるこく》。
コンビニの袋しゃらしゃらと、
耳に挟んだ小型音波帳からはヒーローアニメの逆転のテーマ。
行こう、飛べる。調子はずれな唄声で空駆ける帰り道。俺は藍を纏う、この国の王。
深夜にコンビニにいくのとても好き。
7丁目の雨はいつ吹くんだい。
あの汽車には"銀のバザール"に繰り出す星々が乗ってる。
遠い汽笛。ボクはカエルの王子、空の金貨は雲の向こう。
ボクの池には水面にぷかり、腹の膨れない、歪な金貨。
空しい問答の途中。
偽の導はどの音だ?!
還り道はどっちだ?!ピィと吹く微かな灯。
ひとすじの蜘蛛の糸。
辿れ、護れ。大丈夫、それであってる。
その糸は切れそうで、切れそうで…切れそうで…。いつまでも切れない。
#あなたの絵が好きです
メッセージとして紡いだ詩。
その枯れたようにみえる苗。
わたしから、取り上げないでくれないか?
きっとさぞかしちっぽけで、こんなの鼻で吹き飛ばせる、そんな風に思うんだろ。
わたしは後ろ手に柄《つか》を握る。脳天にまずは一撃、次に喉。
返せ、返せ、返せ!
ーー泥だらけ中気づく。わたしも目の前の"痣"と同じ傷を負っているということを。
ここはかつて星だった家。
斬りつけたら、相手と同じ傷を負うのだと思います。
おかえり。
"外"はモンスターだらけだったかい?
大丈夫だ。鍵をかけて、扉を棚で塞いで、ほら包んであげる。
あったかいだろ?大丈夫だ、殻の外は案外モンスターだらけでもない。
怖かった?この"家"の中だけは大丈夫だ。
甘いものを食べよう。大丈夫、大丈夫…。
殻の中。
吼えれば藍も裂けるだろう。
まるでそんな戦慄き。
どうすればこの世界に"双葉"を取り戻せるのか、狼は砂を噛む。
この星は、その昔、豊かで…水も銀の装置から…ジャァジャァ出せたって…。
俺は、確か、その頃は、二本の足で歩けてて…。
ーーー狼が名を思い出そうとすると、
コロンと濁った水晶が、目から溢れるだけだった。
どうして、わたしはここにいるんだろう?
往来はあちこち灯ってみえるのに、ボクのマッチは、使い捨て。
醜いカエル印のマッチ。最後の一本雪に湿気て灯らず登った。
ボクのマッチは町のきっとどこかを灯してて、ボクはそれに気づかない。
暗い詩ですが、とても気に入っています。
俺は仮設トイレの〜(ワワワ〜)
閉めるとこ〜(ワワワ〜)
トイレ(仮)とか〜言われちまうけど〜(ドュワ〜)
レディたちを〜俺の鍵で護る〜大切な〜仕事〜(ワーオ!)
「俺とかいって〜男〜なんですか〜?」
ユニセックスって〜感じだぜ〜(キャー!)
最近の仮設トイレすげぇなぁって、それだけ。
ここはやさしさの要塞。
羊水の中、子守唄。リロロ、ララロ。
殻の中は暖かい。
砦から出てはいけない。
外のセカイは、破裂して、踏み潰されて、もう視えない。
帰ろう、還ろう。
リロロ、ララロ、
還ろう、孵ろう。
頭を撫でてくれる、お母さんの元。
心の中、庭守の詩。
気づけば、足元に、死人の蛇。
手には大きな裁ちバサミ。
切った髪から、ごぼごぼと音を立て、黒い淀みが吹き出した。
"わたし"という名の紅い蝿。
.
わたしは蛇を埋葬し、ざんばらの髪のまま、裸足で砂利を踏み出した。
そうだこの膿は、この澱は、悔しさ滲む、いつかの夕焼け。
気づけば塔の天辺だった。
内臓を"いつかのセカイ"に落として来た狼は、多分腹ペコ。
多分、多分?メシを喰うってなんだっけ、思い出せない。
俺は…。
熱くも冷たくもない涙。
俺は空っぽ。
問答の途中。
闇を抜けたら安堵の大陸。
険しい闘いの先、摩訶曼陀羅華の香、漂う楽園。
なのに立ち止まる。
俺は怖がり、俺は寒がり。
体をつん裂くノックの鼓動。
そうだ俺はこの衝動を知ってる。
恋か?愛か?徹夜で書いたラブレターか?
違う。そうだ尿意だ。
hey!nyou!hey!jar !
ここは泥濘、布団の中。
#rap
こんなの書いてないでさっさと放尿してこい。
俺は蛇。
這い回って、割って、なぞって、烙印をちろちろとくすぐる濡れた蛇。
必要としてやるよ。良かったな?
少女は、どろり、濁った眼で、お腹が減ったな。と、笑った。
苦悩の旅は続く。
ある日、熱に浮かされて、コロコロと布団と壁の隙間、落ちてしまった。
ここは忘れ物の国。
ワタシはボールペンの蓋。私は紅い髪留め。
わたしは…わたしは?
今日も待つ。明日も、昨日も、過ぎた日々も。
藍、立ち込める、すぐそこに広がる世界。
雨の中、盗んだ鳥かごのおもちゃ。わたしはなんだっけ?
存在価値とは。
金のボタンを探す旅、西極《さいはて》へ。
旅の途中”俺”の物語。≪3篇≫
気づけば森で迷ってた。
ザックからかろうじて干しパンの欠片。
死にそうな俺を西日が照らしていた。
ふいにうまそうな黄身がぼたりと一つ。
黄身はパンの上でいそいそと白身と茶色の殻を着、
「金のボタンもどきです」とはにかんだ。
陽が西の海の果て、ジュッと沈んだ音がした。
道の途中、腫れた耳がヅクヅクと俺を嘖む。
西はどっちだ。あっちか?それとも通り過ぎたのか。
天の衣、雲間にはためく。手を伸ばしたら、遠かった。
刺さるみてぇな青の天蓋。西極《さいはて》へと急ぐ雲ども。俺はぽつり、地平の線上に立ち尽くす。気づけばどこかで見たような竜。面白そうに俺を見下ろしこう言った。
「願い事は?」
今回ばかりは考えた。なんだっけ。叶えて貰えるもんなら、もう…。結び目のない大地で独り、考えて、考えてーーー。
「んー」.
「やっぱ飯奢ってくれるぐらいでいいや」
竜はヘンなヤツだな。と笑いながらはち切れそうなランチボックスを1つ振らせて、またな。と
雲が撫ぜるように、吹いて投げて、飛んでった。竜の奢りは、バスケットいっぱいの白パンだった。
≪連作≫
こういう物語の断片は、後で違う作品に化けたりしますので、とても大切にしています。
*振り返って*
以上18篇でした。まとめて読むと字面の暗さにズーンとなるかたもいらっしゃるかもしれません。
2017年は本当に病気ばかりした年で、振り返ると「あ”~」ってなる。
ただ、病気の時にしか創れないセカイをベッドの中から必死で構築したなぁって自分を褒めたい。
苦しい気持ちを昇華する時残る、言葉の切れ端集である、このまとめを読み返していて、こんなにカタチに残せるんだったら、わたしはきっと大丈夫だ、と思った。
書きおろし。
遠く霞んで見えるかい?
届かない、約束の地。ほんとにそうか?
瞑った先、何が映る?
群青の中見つけた昼間の花火、ぱちぱちと、箱の底、まだ爆ぜてんだろ?
燃えるような灯色の楼閣、螺旋の先、ひゅぅと雲が吹く。
行こう、ゆっくりと、足を、引きずってでも。
行こう。足を、引きずってでも。
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