長きにわたる雲の上の仙界暮らし。これでいいのか…と思い始めたわたしは、一念発起。東京に降り立った。
久々ニンゲン界──都民として舞い戻った記念に「二年後までに東京で降りたことがない駅をなくす!」という無謀な目標を立て、方向音痴のくせにO型根性丸出しで、なにもかも行きあたりばったりで───東京町《とうきょうちょう》全制覇を目指し、町歩きに挑むことになった。
新しい記事から読まれる方もいらっしゃるだろうから、分かりやすくするために、毎回挟むコナンの冒頭文的なのを考えてみた。
シリーズタイトルも決めた。
「東京町《とうきょうちょう》まみある記」こういうのは形から入った方がいいのだと思う。しかしこのペースじゃ二年後とか間に合わないなぁ。どうすればいいんだ…。
町歩きカテゴリも作った。
前回の町歩き記事のラスト、青山一丁目駅にて、道が分かるマジックアイテム ”まっぷる東京Mini” をGETした関係で、多少はいく先を選べるようになったわたし、今回は谷中,根津,千駄木を略して通称”谷根千《やねせん》”と呼ばれているゾーンを歩いてきた。
山手線基準で説明すると東京の右の上の方。日暮里,上野らへんの話だ。
千駄木《せんだぎ》。
下町情緒あふれる…という煽り文句の町。駅から出てしばらくの間…
思ったより…道幅が…
広い…。
道幅が広いと毎回ガタガタ言う、逆四二条2項道路妖怪になりつつある。
*参考*
建築基準法第四十二条2項について超~簡単に説明すると、
道幅4m未満の狭い道に面した敷地に新しく家を建てる場合、敷地の一部をセットバックして道幅を広げるのを手伝ってくれ。車を走らせたいんだ。国にお前の土地を分けてくれ…という法律。
この基準法にひっかかって道路用の土地をよこせとガタガタ言われる家の前の、狭い道の事を通称”2項道路”と呼ぶ。
わたしは狭い道路フェチなので広げられると死ぬ。
この道でも 多分4~5mぐらいなんで、広いって程でもねーじゃねーかよ…と我ながら思うんですが、広いというより閑散としてて、心ざわつかせながら歩く。
前に千駄ヶ谷という町に降りたけど、特に千駄木と兄弟でもなく、そう近所でもなく、千駄という言葉は《大量》という意味があって、そこから名前がついてるみたいだった。
そして、谷中銀座と呼ばれる、大人気スポットに到着。
みたまえ…道幅が、狭い、狭いぞ…。
看板建築好きの人にはたまらない小野陶苑もあるぞ!
このゾーンには他にも何軒か、この手の、ファンが多い系の看板建築が点在しており、ハシゴして回る方なんかもいるはずなんだけど、わたしの場合は、無計画に方向音痴の仙人がうろうろしてるだけなんで、偶然一軒みれただけラッキーなのだった。
さて、ここからの話はしないでおく。うっかり絨毯敷きの床座式のカフェに入ってしまって、なんというか、描写は避けておくけど、犬の鼻持ち故、嗅覚で体力を大幅に削られる展開になった。
鼻を攻撃され、よれよれと店を這い出て(多分こっちだろう…)と、根津を目指し歩いていたら、なんと日暮里についてしまった。逆だった。前回に引き続き、わたしはまたちいさな旅を開始すべき駅を間違えてしまったのだった。
日暮里駅近くのレトロなパン屋さん。彼女の手作り感あるクッキーなんかも置いてあってよかった。
ちなみにアレだったのはその絨毯敷きのカフェだけなので、町自体は問題ないことも追記しておく。
根津《ねづ》。
せっかく谷根千《やねせん》ゾーンに来たのに、根津を抜かして帰りかけて、もう少し頑張ろうよ…わたし…と思ったので、いっそ山手線で西日暮里まで一回でて、もう一回千代田線に乗りかえて、無理やり根津駅に降りた。
道幅………。
道幅が広いと体力を削られてしまう謎の習性持ちなので、ここで一旦棺桶になってしまった。わたしが殻に閉じこもりがちな理由がそろそろ分かってきただろうか?
そもそも何故、今回、根津近辺に白羽の矢が立ったかというと、根津にある靴供養の延寿寺日荷堂に4年履きこんだクロックスをおさめよう…と思っていたのにもかかわらず
*KING OF PRISM*わたしの推しプリズムスタァ”大和アレクサンダー”の胸筋の感触が好きなだけ楽しめる───
───胸きゅんマウスパッドに、
クロックス奉納用お布施貯金をはたいて───
───つい予約注文してしまったからだった。
もはや、根津は1mmも関係ないけど、あまりそこは問題じゃない。
それにしても、わたしはここのパフェが食べたいとかいう願望も薄く、どこに行くとか一切決めずに仙界の雲から降り立つので、ほんとに毎回行く場所が分からない。
うちのフォロワさんで、町歩きが得意な方がいらして、いつも楽しみにしてツイートを読んでたりするんだけど、何故いつもおいしそうなものを喰らい。美しい風景にたどり着いてるのか、仕組みが全然分からない。多分計画を立てて歩くんだろうけど。
道端で見つけたちいさなお姉さん。どうしたんですか!?
わたしがこうして町を歩こうとする理由って何だろう?世の中の事が一つでも多く知れたらいいのになぁ、とは思う。わたしはあまりにも俗世を知らない。
フラフラになりながら(計画かぁ…)とかさすがに反省しつつ歩いていると、こんな質屋の張り紙を見つけた。
頭の中がしばらくはてなマークでいっぱいになった。口をつけて飲むおっさんもいるのに、核が全てを燃やし尽くした世界観でいう上質の燃料にでもするんだろうか?
…しかしなんてことはなく未開封の酒の話だった。おかげでわたしの根津の思い出はこの沢山の酒瓶の残像だけになってしまった。
酒瓶の思い出を引きずりながら歩いているとこんな看板が立っていた。
不忍《しのばず》…。とりあえずこの通りにいる人たちは、忍ばないんだ…と思った。
しかし、忍ばないってどの程度なんだろう?
多分股間モロ出し的な人たちは”大胆通り”とかその辺にかたまって一斉にボロンボロンやってるんだろうから、ここ、不忍《しのばず》では、見えそうで見えない絶妙な位置に推しの缶バッヂをつけて歩いたり、もしくはアベックがたくさんいるんだろう。
不忍《しのばず》感ある犬もいるぞ!
ちなみにわたしには、知らないものを見た時、調べる前に言葉の印象だけで、どんな場所かな?どんなやつだろ?と自分なりに空想して遊ぶ癖があるのだ。この癖は大変創作活動に役に立っている。
*答え合わせ*
調べてみると半分当たり。男女が忍んで逢っていた的な説もあるそうで、なんだ、スケベか…なるほどスケベか…とか悦に入りながらもなんとか 不忍池までついた。こちらは動画をアップしてるので、よかったらどうぞ。
それにしても腹がへった。今度から適当な弁当を作ってこようと思う。よさげな店を目指して体力を削ってうろうろするよりも、外で風の匂いを嗅ぎながら食事した方がわたしには断然楽しそうだ。
ここで先ほど日暮里近辺のレトロなパン屋で買った手作りクッキー…いや、(脳内)彼女である小松菜奈に貰った(設定の)クッキーが火を噴いた。俺の菜奈すごい。お菓子作りのプロみたいだ。
上野《うえの》。
へとへとになりながら駅を目指した。
その昔、上野公園でボーっとしてたら、イランの人から「お姉サン、見ててもいいですか?」という謎の申し出を受け、減るもんでもないしいいですよ。と返答したら30分ぐらい無言で、熱く見つめられ続けたというよく分からない思い出がある。
今思い返すと、さすがに逃げろよ。と思わなくもないけど、ほんとに見てるだけだったので、わたし的には特に害はなかった。
そんな事を思い返しながら、ふと見上げると…
これは知ってるぞ!
アメ横は初めて歩いた。乾物ばかり店先に並び、飲み屋だらけだった。酒が飲めたら楽しい町かもしれない。
気が済んで帰ろうとしたところ、こんな看板が。
一杯で恋が始まる…?
店のお姉さんに「恋が始まると聞いて…」と、どのドリンクならマッチョが寄ってくる率高いですか?等、大真面目に質問して買った。正直言ってだいぶ困る客なのではないかと思うんだけど、大変感じよく流行りのタピオカ入りのドリンクを選んでくれた。天使か。
タピオカなんか世紀末からあるのに、何で今更流行ってるんだろう?とか思ってたんだけど、実際ちゃんとしたタピオカを飲んだのは、これが初めてかもしれない。もちもちしてておいしかった。
引き返す時、店のお姉さんと目があったので、大きな声でおいしかった!と通りの向こうから伝えて手をばいばーいとやった。満面の笑顔で振りかえしてくれたので幸せいっぱいになった。
さて、ついにわたし的最大の上野の名所がやってきた。前に東京暮らしをしてた頃、この辺では一番好きだった場所だ。
上野駅構内には、こんな感じのむき出しの構造体が多く点在しており、コイツの何が楽しいかというと、この梁、低いもので1600mm。高くても1800mmぐらいしか高さがないんである。
人が通りぬけする空間の天井高は頭をぶつけないよう、普通、2000mmは取るものなんだけど、ここでは身長160㎝以上の人は必ずかがんで通る。
つまりかがむ人の仕草が見放題の場所なのだ。
なんだこのフェチ用スポットは。たまらない。見始めると止まらない。結局30分ぐらい眺めて帰った。上野駅に来てよかった。最後の最後ですごくいい思い出になった。
今回は、千駄木、根津、日暮里が新たに降りた駅。西日暮里と上野は何回か降りたことはあるものの、町そのものはよく知らなかった町なので大収穫だった。
帰って友達に電話して聞いてみた。
「どうやったらうまく計画を立てて回れるだろう?」
即答された。
「まみすけが計画を立てて歩くとか、まみすけじゃなくなるから、そのまんまでいい」
なんかありがとう…。
恋が始まるタピオカについてたスリーブは、ずっと取っておこうと思う。好みのマッチョがある日天から降ってきて、プロポーズしてくれるかもしれない。
▼この記事を書いた仙人▼
千駄木での一枚。今度からなるべく、わたしの視点で(イイ…!)と思ったショットをお土産にしてみなさんに持って帰ろうと思う。
▼最近うれしかったこと▼
▼夢に出てきた風景が元の短編ばかり描いています▼